2025年9月12日
9月10日に、個人情報保護委員会は、名簿業者に対する行政上の対応について公表しました。
株式会社中央ビジネスサービスに対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について(令和7年9月10日) |個人情報保護委員会
名簿業者は、個人情報を提供したある人物から、個人情報が特殊詐欺グループに提供された恐れがあると認識していたにも関わらず、提供を継続していました。
そうした行為に対し、個人情報保護委員会は、個人情報保護法第19条(不適正利用の禁止)の規定に違反するとして、是正を勧告しました。
今回、違反が指摘された法第19条(不適正な利用の禁止)の規定について、法の条文とガイドラインにおける事例は以下になります。
法第19条
個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
【事例】
①違法な行為を営むことが疑われる事業者(例:貸金業登録を行っていない貸金業者等)からの突然の接触による本人の平穏な生活を送る権利の侵害等、当該事業者の違法な行為を助長するおそれが想定されるにもかかわらず、当該事業者に当該本人の個人情報を提供する場合
②裁判所による公告等により散在的に公開されている個人情報(例:官報に掲載される破産者情報)を、当該個人情報に係る本人に対する違法な差別が、不特定多数の者によって誘発されるおそれがあることが予見できるにもかかわらず、それを集約してデータベース化し、インターネット上で公開する場合
③暴力団員により行われる暴力的要求行為等の不当な行為や総会屋による不当な要求を助長し、又は誘発するおそれが予見できるにもかかわらず、事業者間で共有している暴力団員等に該当する人物を本人とする個人情報や、不当要求による被害を防止するために必要な業務を行う各事業者の責任者の名簿等を、みだりに開示し、又は暴力団等に対しその存在を明らかにする場合
④個人情報を提供した場合、提供先において法第27条第1項に違反する第三者提供がなされることを予見できるにもかかわらず、当該提供先に対して、個人情報を提供する場合
⑤採用選考を通じて個人情報を取得した事業者が、性別、国籍等の特定の属性のみにより、正当な理由なく本人に対する違法な差別的取扱いを行うために、個人情報を利用する場合
⑥広告配信を行っている事業者が、第三者から広告配信依頼を受けた商品が違法薬物等の違法な商品であることが予見できるにもかかわらず、当該商品の広告配信のために、自社で取得した個人情報を利用する場合
個人情報保護委員会は法第148 条第1項の規定により、以下の措置をとるべきことを勧告しています。
①法第19 条(不適正な利用の禁止)の規定に違反する個人情報の提供を確実に中止すること。
②法第19 条の規定に違反する個人情報の提供を一切行わないよう、令和7年9月30 日(火)までに、例えば、個人情報の提供先に対し当該個人情報の利用目的を確認すること、個人情報の提供先について、法人登記で実在性を確認し、担当者の在籍確認を行う等の方法で、違法又は不当な行為に及ぶ者ではないことを確認すること等を会社規程に盛り込み、個人情報の取扱状況について定期的に監査を実施するなど、確実な体制整備を行うこと。
詳細については、個人情報保護委員会による報道発表をご確認ください。
個人情報に関わる資格制度の運営や社員教育、認証付与など総合的ソリューションを提供し、個人情報保護の推進に貢献してまいります。