2019年9月11日
リクナビが就活中の学生の内定辞退率の予測を算出し、企業に販売していた事件が問題となっています。
運営元のリクルートキャリアには、個人情報保護委員会からの勧告だけでなく、厚生労働省からの行政指導も入り、この事件がはらんでいる問題の大きさが明らかになりつつあります。
個人情報保護法が次の改正に受けて見直されている中、また、ビッグデータを用いた個人のスコアリングが現実味を帯びている中、今後の動きも注視するべき事件です。
さて、個人情報保護管理の観点から見たこの事件の最も大きな問題は、ユーザーである学生が、自分の内定辞退率予測が企業に渡されることを知らなかったことかと思います。
リクナビのプライバシーポリシーを読んでも、内定辞退率予測のために個人情報が利用されるとはまったく考えられませんでした。
ユーザーであった学生の怒りは、想像するに余りあります。
ごく当たり前のことですが、個人情報の「持ち主」はユーザー自身です。
ビジネスに邁進していると忘れがちになるかもしれませんが、事業者はあくまで、ユーザーから個人情報を「預かっている」立場にすぎません。情報の使われ方を決める立場にあるのはユーザーです。
ですので、情報を預かる側の事業者は、情報をどのように使うのか等を明確にして、プライバシーポリシー等で公開する義務が課せられています。ユーザーはその内容を確認した上で、自身の持ち物である個人情報を預けています。
プライバシーポリシーに書いていないことに個人情報を利用するということは、ユーザーの信頼を裏切る行為です。
しかし、今回の事件はもしかすると氷山の一角に過ぎないのかもしれません。
明るみに出ていないだけで、ユーザーの個人情報を、ユーザーが知らない目的で利用している事業者が存在している可能性があります。実際に、説明が不十分ではないかと思われるプライバシーポリシーを見かけることがあります。
個人情報保護法上で求められている利用目的の記載があいまいだったり、問い合わせ先や苦情の窓口すら書いていないケース等もあるようです。ネットで拾ったと思われる雛形をほぼそのまま利用していて、実際の個人情報の利用内容にそぐわないのではと思われるものさえあります。
個人情報を預かるビジネスにおいては、プライバシーポリシーはユーザーとの信頼を築くために大変重要なものです。
また、今回のリクナビの事件では、プライバシーポリシー作成する際にしっかりと利用目的を明確に記載しようとしていれば、ユーザーに不利益を与えることに気づき、正しい方向に舵を切りなおすこともできたかもしれません。
ユーザーとの信頼関係構築の第一歩を築き、適切にビジネスを拡大させるために、ぜひ自社のプライバシーポリシーを見直してみてはいかがでしょうか。
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