2021年4月26日
スマートフォンアプリ等を通じた位置データの収集、利用はデータプライバシーを
考える上で非常に大きな問題です。大量に収集された位置データを分析すれば
個人の特定も可能になる場合があります。
しかし位置データの収集、利用に関しての国際的なガイドライン等は存在していません。
先日、アメリカ地理学協会のEthicalGEO Initiativeと
英国陸地測量部及びオミダイア・ネットワークによるBenchmark Initiativeが
「Locus Charter(位置情報に関する憲章)」を発表しました。
この憲章は十の原則で成り立っており、位置データの倫理的な収集、分析、利用の
ためにどういった点に注意すればよいのかを確認できるものとなっています。
憲章は法律のように強制力があるものではありませんが、
EUのGDPR(一般データ保護規則)や米国カリフォルニア州の
CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)といった新たな法規制を
議論する上での足がかりとなる可能性を秘めています。
位置データの適切な利用について検討するため、また将来、
影響が発生する可能性のある発表として、ご一読をおすすめいたします。
また、下記に十の原則を引用いたします。
日本語訳は当機構によるものですので参考程度にお考えください。
1.Realise the benefits location data offer to society and economies
(位置データが社会や経済にもたらすメリットを実現する)
2.Understand the potential impacts of using location datasets
(位置データセットを使用することの潜在的な影響を理解する)
3.Do no harm when using location data
(位置データを使用する際に害悪を及ぼしてはならない)
4.Protect the vulnerable
(脆弱性を保護する)
5.Recognise and address the impacts of bias in data
(データの偏りの影響を認識して対処する)
6.Respect people’s dignity by avoiding unnecessary intrusion
(不必要な侵入を避け、人々の尊厳を尊重する)
7.Do not collect or use more data than necessary for a task
(タスクに必要となる以上のデータを収集または使用しない)
8.Actively protect privacy and seek consent
(プライバシーを積極的に保護し、同意を求める)
9.Prevent identification of individuals
(個人の特定を防ぐ)
10.Provide accountability about how data is used.
(データの使用方法に関する説明責任を提供する)
個人情報に関わる資格制度の運営や社員教育、認証付与など総合的ソリューションを提供し、個人情報保護の推進に貢献してまいります。