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  • 子どものプライバシーを蝕む「シェアレンティング」

    2021年5月14日

     

    デジタルタトゥーという言葉があります。ネット上に発信した投稿や個人情報は、

    拡散されてしまうと削除が不可能になり、半永久的に残り続けます。

     

    SNSの普及後、個人情報をネットに投稿することの危険性はよく知られるように

    なりました。それを説明する際にもデジタルタトゥーという考えが紹介されます。

     

    もしも自分が同意していない間に個人情報が公開されて、デジタルタトゥーが

    何十年も残されるとしたら、非常に恐ろしいことではないでしょうか。

     

    しかし、子どもを持つ親の多くは、気が付かないうちにそのような行為をして

    いるかもしれません。

     


    シェアレンティングとは

    シェアレンティング(Sharenting)は、親が自分の子どもの情報や写真をネット上に

    シェア(投稿)することを指します。

     

    この言葉の由来は、アメリカの経済新聞ウォールストリートジャーナルが

    「overshare(過剰共有)」と「parening(子育て)」をかけあわせてつくった

    造語「oversharenting」と言われています。

     

    子どもの姿や成長の記録を、FacebookやTwitter等のSNS、あるいはYoutube等を通じて

    誰かにシェアしたいと思うのは多くの親にとってはごく自然なことかと思われます。

     

    しかし、このシェアレンティングは大きなリスクをはらんでいます。

     


    シェアレンティングのリスク

    SNS等が普及してからまだそれほど時間がたっているわけではありません。

    シェアレンティングのリスクは今度新たに判明する可能性も高いですが、

    現時点で大きなリスクと考えられる点を3点ご紹介します。

     

    犯罪の糸口になる

    例えば子どもの顔、名前や学校等が特定できると、誘拐犯のつけ入る糸口になります。

    学校帰りを狙って、親の知人を装い、名前を呼びかけることが可能となります。

    親から頼まれて迎えに来た、などと説明すれば、子どもはそれを疑うことができる

    でしょうか。

     

    デジタルタトゥーが残る

    投稿された子どもの情報はインターネット上に残り続けます。子どもが成長してネットに

    アクセスできるようになったとき、想像もしていなかった自分の幼いころの画像や映像を

    見つけるかもしません。また子ども本人だけでなく、そのクラスメイト等が探し出して

    周りに共有し、からかいやいじめの材料とすることもあるかもしれません。

     

    子どもの同意がない

    子どもは自分についての情報が投稿されることに対して、自分の意志で同意することが

    できません。インターネット上に予想していなかった自分の姿を見つけたとき、

    子ども達は不快な思いをするかもしれません。子どもの自我の成長に影響を及ぼす

    可能性も否定できません。

     


    シェアレンティングによるリスクを減らす手段

    リスクを減らすために有効と思われる手段をいくつかご紹介します。

    子どもの愛らしさや成長を周囲に知らせたい親の気持ちは強いかと思いますが、

    対策をした上で投稿することを強くおすすめします。

     

    SNS等の公開範囲を限定する

    公開範囲を限定していなかれば、世界の誰もが投稿された情報にアクセスできて

    しまいます。その中には悪意を持つ者もいるかもしれませんし、複製されデジタル

    タトゥーとして残り続けることになる恐れが高くなります。信頼できる人たちだけに

    公開範囲を限定することで大きくリスクを下げることができます。

     

    個人が特定できる情報を公開しない

    名前、住んでいる地域、学校名等を公開しないことはもちろんのことです。顔が分かる

    写真も顔を隠す加工をした上で投稿するべきでしょう。

     

    しかし、それだけでは不十分です。例えば画像に制服の一部が映っていたり、学校行事に

    ついて投稿したら学校が特定される恐れが発生します。家の前でとった写真を投稿したら

    住んでいる場所が特定されるかもしれません。

     

    もし悪意をもった者に狙われてしまったら、わずかなヒントからでも個人を特定される

    恐れがあります。投稿前に慎重に確認されることを強くおすすめします。

     

    位置情報の設定はオフにする

    SNSによっては位置情報をオンにしていると投稿した場所の情報も出る設定があります。

    生活圏が割り出されてしまうと個人情報特定の足がかりになるため、オフにすることを

    おすすめします。

     

    祖父母や友人等に話をしておく

    親だけでなく、祖父母や友人等が子どもの画像をSNS等に公開するかもしれません。

    子どもを守るため、シェアレンティングの危険性を伝えるとともに公開をやめるように

    伝えておくことが重要です。

     

    子どもに話をしておく

    こどもがある程度の年齢になったら、SNS等について説明し、投稿の前に子どもに

    話をしておくと良いかもしれません。子どもには判断が難しいかもしれませんが、

    少なくとも話をしておいたということが、将来に良い影響を及ぼす可能性があります。

    インターネットを利用する上でのリテラシーを育む効果も期待できます。

     

    子どもの名前等で検索してみる

    過去に子どもの名前、写真などを投稿したことがある方は子どもの名前等で検索して

    どういった結果がでてくるのかを確認してみてはいかがでしょうか。特に珍しい名前の

    場合はすぐに結果がでてくるかもしれません。それを見て、子どもがどのような気持ちに

    なるのかを想像してみるもよいかもしれません。

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    一般社団法人日本プライバシー認証機構(JPAC)

    個人情報に関わる資格制度の運営や社員教育、認証付与など総合的ソリューションを提供し、個人情報保護の推進に貢献してまいります。

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