2018年11月28日
11月一番世間を賑わせたのはおそらく日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の不正疑惑問題だっただろうが、その問題が出てくる前は、「ゆるキャラ®グランプリ」不正投票問題だったのではないだろうか。
「ゆるキャラ®グランプリ」は「ゆるキャラ®グランプリ実行委員会」が主催する、
① 「ゆるキャラで地域を元気に!」
② 「ゆるキャラで会社を元気に!」
③ 「ゆるキャラで日本を元気に!」
の3つテーマを中心とした地域振興イベントである。
(ゆるキャラ®グランプリ実行委員会ホームページより)
今回この「ゆるキャラ®グランプリ2018」において、特定の自治体職員などが、自らの応援するゆるキャラへの投票を促進するためという名目で、大量のメールアドレスを取得し、投票に必要なIDを入手して投票を行ったという組織票問題が持ち上がった。
なんでそんなことを?と思うかもしれないが、自治体職員などが仕事として(あるいはボランティアで)組織票を投じるのには理由がある。いわく、
「ゆるキャラ®グランプリに選ばれれば、地元が有名になる。テレビなどで取り上げられ、経済的効果が期待できる。」
ということだそうだが、これは本来の趣旨とはかけ離れたものだろう。
まじめに投票を行った参加者の心情を慮ると、それだけでも問題がありそうな本件であるが、もっと深刻な問題は「使い捨て用に取得されたメールアドレス」だ。これらは数千から数万件とも言われているが、これらのアドレスがこれからどうなるかを気にしている人は少ない。
組織票を投じた本人たちは、メールアドレスの発行目的が、アドレスを入力することで得られる投票用IDを入手することで達成されているので、投票用IDを入手した後は、そのメールアドレスを取得したことすら忘れているだろうが、一定期間で利用できなくなるメールアドレスでなければ、そのメールアドレスのアカウントの閉鎖手続きをするべきだ。
しかし、実際は大量に取得されたメールアドレスは放置されていることだろう。放置することが新たな問題に発展しかねないことも知らずに。
特に問題になりそうなのは、スパムメールへの悪用だ。大量に取得したメールアドレスのログインパスワードをきちんとした(簡単に突破されない複雑な)ものに設定している人は少ないだろうし、もしこのアカウントがスパム業者に乗っ取られてスパムメールの発信元となってしまえば、最悪アカウントの作成者がスパムメール事業者として摘発されてしまうかもしれない。
その他にも、メールアカウント作成時に入力した情報が外部に漏えいするかもしれないなど、問題は多い。
こういった行為の裏には「モラル」や「セキュリティリテラシー」の欠如がある。どちらも情報社会を生きるには必須のスキルだが、そういったことに関する教育が行き届いていないのが現状だ。
セキュリティは人材育成から。
企業・自治体の「モラル」や「セキュリティリテラシー」向上なくして成長はない。
個人情報に関わる資格制度の運営や社員教育、認証付与など総合的ソリューションを提供し、個人情報保護の推進に貢献してまいります。